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独身アラフォー女のさすらいダイエット記 vol.1

mizo

ダイエットとの出会い

振り返ってみれば、いつも体重、そして体型と格闘してきた人生だった。

はじめてのダイエットは忘れもしない、小学6年生のころ。運動会の日、同級生のお父さんに体型を笑われたことがきっかけだったように思う。

それまでも、周囲の友人だちよりはだいぶ発育のいい体つきをしている自覚はあった。祖母の茶飲み友達にはよく「あらあら、体格がいいのねえ」と合うたびに褒められ(?)ていたし、なにより整列の順序でいえば一番後ろか、後ろから二番目が毎回の定位置だった。

けれど、体格がいい自覚はあっても、太っているという自覚は薄かった。

なにしろ当時習い事をいくつも掛け持ちしていた私は、少なくとも週に3日は水泳、空手、バスケのどのスポーツかに懸命に励んでいたし、空いている日には夕方から夜までフットベースボールで汗を流していた。
また習い事がない日であっても友人と近所を駆け回り、公園でバスケやサッカー、鬼ごっこを嗜む、たいへん活発な女児であった。

運動神経は悪い方ではなかった。むしろ、運動会ではリレーの選手に選ばれアンカーとして校庭を駆け抜けていたし、50〜100M走では概ね首位を独走。マラソン大会では常に上位で、だいたいは二位の位置を常時キープしていた(一位の女の子は抜群に早く、彼女にはいつも追いつけなかった。私は短距離走のほうが得意だったからだ)。

そんなこんなで「しっかり動ける体格と発育のいい小学生女児」、それが当時の私だった。

だが、そんな私にも悩みがあった。それは今に通じる悩みでもあるのだが、いかんせん下半身が太めであること。

当時の写真をみれば、引き締まった脚、引き締まった下半身だと言えるだろう。なにせ週5日は数時間は運動に励んでいる脚である。それでも、周囲の棒のように細い友人よりは、比較すれば太いと言えたし、お尻も大きい方だった。

そこに投下された、あのオジサンの発言だ。

なんだあのデカいケツは」。

一瞬、何を言われたのかわからなかった。周囲の笑い声を見渡すと、どうやら私のことを言っているのだと理解できた。そして、それがなんともいたたまれないほどに恥ずかしかったことは、いまでも鮮明に覚えている。

そしてその頃から、私の脳裏には「ダイエット」の文字が常に点滅するようになったのだった。

マンジャロとの出会い

そんなこんなで、ダイエットとの出会いは小学6年生の頃。一方のわたしは現在36歳である。つまり、12歳から現在に至るまで、ざっと約四半世紀もの年月を体重および体型に悩まされてきたことになる。

無論、なにも手を打たないわけではなかった。が、めぼしい成果が出た経験もほとんどなかった。

一度だけ、なぜだか理由もわからずに痩せた経験はあるのだがーー、それでも、「痩せた」というよりはどちらかといえば「適正体重に近づいた」といった表現のほうが正しくはあるだろう。

これまでのダイエット遍歴は省く。なにせ経験として語るにはあまりに冗長かつ蛇足であるし、結果として失敗に終わっているという現在の着地点に相違はないからだ。

こうして、「ダイエット」という言葉と出会ったばかりのかつてよりはずいぶん太ましい体格になっていたアラフォーのわたしのもとに届いたX(旧Twitter)経由の電子上の啓示が「マンジャロ」であったというわけである。

ちなみに「マンジャロ」って何なん?

当記事で頻出するマンジャロにも多少は触れておきたい。

ただし、私がこの記事で書いているのは、あくまで自由診療でマンジャロを使用している一個人としての体験と、その際に自分なりに調べた内容である。正確な適応や副作用、使用可否については、必ず各自が医師や医療機関の説明を確認するなどしていただきたい。

「マンジャロ」の減量効果とは

マンジャロ」とは、一般名をチルゼパチドという週1回投与の注射薬である。

日本では、マンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されている処方箋医薬品だ。GIP受容体とGLP-1受容体という2つの受容体に作用する薬で、血糖コントロールを助けるだけでなく、食欲の低下や体重減少が見られることから、近年はダイエット目的で熱い注目を集めている。私もその熱波に呼び寄せられた多数のうちのひとりだ。

GIP受容体およびGLP-1受容体に働きかけることによって何が起きるのか?

ざっくりといえば週1回の投与で食欲を抑えることができ、少ない食事量で満腹感を得られる効果があるとされている。

とくにマンジャロが画期的であるとされているのは2種類のホルモンの相乗効果によって、GIP受容体とGLP-1受容体というふたつの受容体に働きかけ、より複合的な代謝の改善が可能だからである。

以下はGIP受容体およびGLP-1受容体への作用内容だ。

GIP受容体への作用で起こることGLP-1受容体への作用で起こること
脂肪細胞に働きかけ、脂質の代謝を改善脳の満腹中枢に作用し、食欲を抑制する
エネルギーの消費を高め、脂肪の蓄積を抑える胃の排出を遅らせ、満腹感を長く維持する
インスリンの感受性を高め、血糖コントロールを補助血糖依存的にインスリン分泌を促進し、血糖上昇を防ぐ

つまりGIP受容体およびGLP-1受容体へ同時に作用することによって、「食欲の抑制 + 代謝の改善 + 脂肪燃焼の促進」のトリプル効果が期待でき、結果減量効果も期待できるという仕組みだ。

ただここでひとつの注意点として、肥満治療目的でのマンジャロ処方は国内では承認されていない、ということは肝に銘じておきたい。
つまり万が一重篤な副作用などが生じた場合も、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合がある。糖尿病患者以外が使用する場合は自由診療扱いとなるため、完全に自己責任での使用になるということだ。

海外医師による情報

体重減少に留まらない「付加的メリット」

またGLP-1系薬やGIP/GLP-1受容体作動薬については、体重減少にとどまらないメリットを説いている情報筋もある。

参考とするのは以下のYouTubeチャンネルである。

語り手となっているのはニュージーランドの一般開業医であるブラッド・スタンフィールド氏。

動画のタイトルにもなっている

「Why I Take Low-Dose Tirzepatide (& Not Retatrutide)」

は日本語に訳した場合

なぜ私は低用量チルゼパチド(=マンジャロ)を使うのか(そして、なぜレタトルチドを選ばないのか)

とでも言おうか。

なお、チルゼパチドはマンジャロの有効成分のことである。つまりは2型糖尿病でも過体重でもない34歳の男性医師が、なぜ減量目的以外でマンジャロを使用しているかを説明している動画となっている。

詳しくは動画内容を確認してほしいが、動画内で説明されている科学的根拠と医師の個人的理由を簡単にまとめてみた。

体重減少だけでは説明しきれないGLP-1系薬の可能性

本来、セマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬や、マンジャロのようなGIP/GLP-1受容体作動薬は、血糖値を下げる薬、あるいは肥満治療・体重減少に関わる薬として広く知られている。

だが近年のさらなる臨床試験や研究によって、単に体重が減少したというだけでは説明しきれない健康上のメリットがある可能性があるということが分かってきたという。

以下はスタンフィールド氏が動画内で挙げている、GLP-1系薬に関する研究やメリットのいくつかだ。

なお以下によく登場する「セマグルチド」とは、GLP-1受容体作動薬に分類される有効成分のことだ。よく知られている商品名としては「オゼンピック」、「リベルサス」、「ウゴービ」などが挙げられる。いわゆるGLP-1系薬として認識していただければと思う。

  • 心血管トラブルの減少 (SELECT試験):セマグルチドを使った試験では、糖尿病のない肥満・過体重かつ心血管疾患のある人において、心筋梗塞・脳卒中・心血管死などの重大な心血管系トラブルの発生を20%減らしたとされている。
  • 腎臓へのメリット (FLOW試験):2型糖尿病と慢性腎臓病のある人で、セマグルチドが腎臓病の進行や心血管死などのリスクを下げたとされている。こちらも「体重減少だけでは説明できない腎保護効果があるかもしれない」という文脈で語られている。
  • 関節・軟骨の保護(まだ研究段階の話): STEP9試験では、肥満と変形性膝関節症のある人において、セマグルチド群で体重と膝の痛みがより大きく改善したとされている。また動画内では、マウス実験や小規模な臨床研究をもとに、セマグルチドが体重減少とは別に軟骨保護に関わる可能性も紹介されている。
    ただし、軟骨の再生や直接的な保護作用については、まだ確定的な話とは言い切れない。

なおこれらの研究は、GLP-1系薬には体重減少だけでは説明しきれない作用がある可能性を示すものとして紹介されている。ただし、これらの結果をそのままマンジャロ使用者全体に当てはめられるわけではない。

なぜ他の薬でなく「マンジャロ」なのか

では、ここでひとつ疑問が生じる。

ここまで紹介されているSELECT試験、FLOW試験、STEP9試験などは、主にセマグルチドに関する研究である。ならば、体重減少だけでは説明しきれないGLP-1系薬のメリットを期待するのであれば、セマグルチドを選べばよいのではないか。

この点について、スタンフィールド氏は動画内で、チルゼパチド(マンジャロ)とデュラグルチドというGLP-1系薬を比較した「SURPASS-CVOT」という試験に触れている。

「GLP-1単独の薬」と「GLP-1+GIPの薬」を比較した試験
彼が「マンジャロ」を選ぶ理由 その1
「GLP-1単独薬」と「GLP-1+GIP薬」の比較試験

SURPASS-CVOTとは、2型糖尿病があり、すでに動脈硬化性の心血管疾患を持っている人を対象に、チルゼパチド(マンジャロ)とデュラグルチドを比較した大規模な臨床試験である。ここでいう心血管疾患とは、おもに心臓や血管に関する病気のことだ。

デュラグルチドは上記にも書き添えたようにGLP-1受容体作動薬であり、チルゼパチドはGLP-1受容体に加えてGIP受容体にも作用する薬、かつ「マンジャロ」の有効成分である。つまり、ざっくりいえば「GLP-1単独の薬」と「GLP-1+GIPの薬」を比較した試験ということになる。

この試験では、心血管死・心筋梗塞・脳卒中など、心臓や血管に関する重大なトラブルの発生が調べられた。主要な評価では、チルゼパチド(マンジャロ)はデュラグルチドに劣っていないことは示されたものの、明確に上回ったとまでは言えなかった

一方で、心不全による入院や腎臓関連の項目なども含めて広く見た追加解析では、チルゼパチド(マンジャロ)に有利な結果も示されている

スタンフィールド氏はこの点を踏まえ、GLP-1単独薬よりも、GLP-1とGIPの両方に作用するチルゼパチド(マンジャロ)を選びたいと考えたようだ。

ただし、これは「チルゼパチド(マンジャロ)がセマグルチドより優れている」と証明された、という意味ではない。ましてや、健康な非糖尿病者が予防目的で使うべきだと示されたわけでもない。

あくまで動画内で語られているのは、複数の研究から見えてきたGLP-1系薬の可能性を踏まえたうえで、本人が「自分はGLP-1単独よりもGLP-1+GIPの使用を試験的に続けたい」と判断した、という話だった。

彼が「マンジャロ」を選ぶ理由 その2
「開発中の新薬」vs「マンジャロ」の場合

そのうえでスタンフィールド氏は、開発中の新薬であるレタトルチドが処方されるようになったとしてもレタトルチドよりもマンジャロを選ぶであろう理由も説明している。

レタトルチドとはマンジャロよりもさらに作用点が1つ多い、現在開発中の皮下注射薬だ。マンジャロ(チルゼパチド)と同じEli Lilly(イーライ・リリー)社が開発しており、マンジャロの次世代候補ともいえる薬として研究が進められている。

マンジャロの成分であるチルゼパチドは、GLP-1受容体とGIP受容体の2箇所に作用するのだが、一方のレタトルチドは、GLP-1受容体とGIP受容体のほか、グルカゴン受容体にも作用を及ぼす。そのため「トリプルアゴニスト(3つの受容体に作用する薬)」「三重作動薬」などとも呼ばれる。
開発会社であるEli Lilly社も、レタトルチドを「GIP・GLP-1・グルカゴン受容体を活性化する、開発中の週1回投与薬」と説明している。

レタトルチドはGLP-1、GIPに加えてグルカゴン受容体にも作用するため、エネルギー消費を高める方向にも働く可能性がある。

もし肥満を治療する目的で使用する場合はエネルギー消費向上はメリットになり得るが、スタンフィールド氏は「自分は痩せたいわけではなく、筋肉量を維持したい。代謝を余計に上げたくない」と考えているため、将来的にレタトルチドが処方可能になったとしても使用は避け、引き続きマンジャロを選ぶであろうとのことだった。

彼が「マンジャロ」を選ぶ理由 その3
本人が語る体感的メリット

数値的メリット以外の部分で本人が実感した効果としては、フードノイズがかなり減ったことも挙げられるという。つまりジャンクフードへの欲求が消えて、健康的な食事を続けやすくなったとスタンフィールド氏は述べている。

加えて、スタンフィールド氏はもともと遺伝的に血圧が高い傾向があるが、マンジャロを使用するようになってからは血圧の薬を半分に減らせたとも話している。

つまり、少なくとも本人の説明では、体重減少そのものよりも、健康上のメリットを期待して使用を継続しているといえる。

マンジャロ使用における副作用と安全性

一方で、最初は吐き気や疲労感があったとのこと。ただ、注射を重ねるごとに副作用は軽くなり、今は副作用を感じていないとも動画内で述べている。

また筋肉量については、筋トレと十分なたんぱく質摂取で守っているとの説明も加えられている。

くわえて、安全性については、膵炎、甲状腺C細胞腫瘍、気分の変化、栄養不足などにも触れられていた。

ただし、チルゼパチド製剤(マンジャロ)には米国添付文書で甲状腺C細胞腫瘍に関する警告があり、甲状腺髄様がんの本人・家族歴がある人などは禁忌とされている。また、膵炎が疑われる場合は使用を中止し、医師に連絡する必要があるなど、決して軽く扱える薬ではない。

そして自殺念慮については、欧州医薬品庁は2024年に、GLP-1受容体作動薬との因果関係を支持する証拠はないと結論づけている。ただし、使用中の気分の変化には注意が必要とのこと。

最後にスタンフィールド氏は、「自分は低用量チルゼパチド(マンジャロ)を長期的に使うつもりだが、これは自分の個人的な判断であって、他人への推奨ではない」と締めくくっている。


そして、心臓の健康などのメリットを得たいのならば、適応外使用にあたる薬に頼る前に、より多くのデータに支えられた方法として運動がある、として次の参考動画につなげてもいたことも、補足しておきたい。

before

「マンジャロ」以前のわたし

マンジャロを実際に手に取る前までは、SNSで白熱している論争や一部界隈での議論の紛糾を遠目で見守るいち外野でしかなかった。

薄い情報にしか触れていなかった当時の私が「マンジャロ」という名前から連想するものといえば、「キャバ嬢」、「キケン」、「炎上」「激ヤセ」・・・あたり。つまり効果はテキメンらしいものの危険性も伴う、よくあるサプリまがいの痩せ薬といった程度の認識だった。

マンジャロに付随する炎上騒動については本筋ではないためここでは触れないことにするが、それでも心の距離も縁も遠い画面の向こう側の炎上で焚き上げられたほんのかすかな火の粉が、見るでもなく遠巻きに眺めていたSNSユーザーの私のもとに届いた、といえなくもない。

なんにせよ「マンジャロ」の名前を知ってから使用するまでには少々のタイムラグがあったが、それでも実際に使用してみようと考えるに至るには、いくつかの段階があった。

1
使用前段階

「マンジャロ」について自ら調べはじめる

固有名詞としてよく見聞きするようになった「マンジャロ」だが、イメージは依然としてモヤに包まれてもいた。

とくに、有名なインフルエンサー兼キャバ嬢であるとある女性が、処方されたマンジャロを美容クリニックから出た直後、我慢しきれないのか出入り口付近で、速攻自ら腹部へ注射していた様子の動画を目にしたときは、ある種ドン引きさえした。

だが一方で、X(旧Twitter)タイムラインも、なにもそんな過激かつ奇抜な情報ばかりが氾濫しているではない。

一般人の、それこそ「標準体重からはやや過体重ではあるものの、糖尿病にも生活習慣病にもかかってはいない女性」によるマンジャロ使用体験談を、ちらほらと見かけるようになってきたのである。

そしてその彼女たちの姿は、そのときの私にそのままぴったりと重なった。

私も、毎回の健康診断で「体重」は指摘事項として挙げられることがほとんどだった。

正直、中学以降ずっとやや太り気味の私からすれば、良くも悪くも、学生時代からあまり変わらない体重および体型といえなくもなかった。が、そんな詭弁をのたまったとしても、結局「標準」よりは重めの体重であることに変わりはない。

健康診断での検査項目をひととおり終えた後、最後の診察で医師の口から「食生活、気をつけてくださいね」「体重、落とすように意識してくださいね」と、それこそ毎年指摘されつづけてきた人生だった。

そして、無論そのたびにーーいや、それこそ医師の口を通してわざわざ言われなくとも、「ダイエット」および「減量」のことを考えない日はなかった。

太めである自覚はあるわけだし、健康的観点からみても、そして美容的観点からみても、痩せたくないわけがない。むしろ、痩せたい。そうずっと思ってきたし願ってもきた。

だが、個人的努力で四苦八苦しても、どうしても痩せないのだ。

いや、痩せる痩せない以前に、食事が整わない。減量食に一時的に慣れたと思っても、減量する段階が訪れるまえに反動がでて、どうしても食べてしまう。

食事の改善が難しければ、動いて痩せるのはどうかと運動はしていた。ジムにも通った。というか年単位で通いつづけてはいた。

それでもほとんど、目に見えた変化は感じられなかった。

やはり、食事の改善をしなければいけないんだろう…でも……。

そんな袋小路に陥っていた私に訪れた天啓めくひとすじの光ーーーそれがまさに「マンジャロ」であったのだった。

つづく

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